山や草むらでよく見かける立て看板が「マムシに注意!」
「マムシには気をつけて!」と言われますが、実際のマムシに遭遇するのは、少ないのではないかと思います。
滅多に遭遇しないマムシですが、マムシに噛まれて死亡した例もあるようですから、用心に越したことはないですね。用心のためにも、万が一に備えて、まずマムシのことを知っておきましょう。
マムシの特徴
マムシは長さが45cm~1m近くあり、胴は太目、背中に銭型の斑点、頭は三角形になっています。
日本中の登山道、湿地帯、海や沢などの岩場、草むらの日陰などに生息し、夜行性です。夜行性ですが、冬眠の前後に妊娠中のマムシは日を浴びるために昼間に活動することもあります。
ハブ、ヤマカガシとともに日本の毒ヘビ3種類のうちの一つです。
半数致死量(LD50)による毒性比較によると毒性の強い順は次の通りです。
1位、ヤマカガシ LD50=5.3 (mg/kg)
2位、マムシ LD50=16 (mg/kg)
3位、ハブ LD50=54 (mg/kg)
マムシはハブの毒性の約3倍の強さなんです。マムシは臆病なので、接近しすぎなければ噛みに来ることはないと云われてます。
年間約3,000人ほどが被害を受け、5~10名ほどの死亡者も・・・・要注意です。
マムシに噛まれたらどうする?
ヘビに噛まれて、それがマムシなのか、その他のヘビなのか?判別が難しいです。
マムシに噛まれた時の症状は・・・・
・噛まれた後の歯型が1~4つあり、そこから出血し出血が止まらない。
・噛まれた直後に痛み出します。
・焼けるような痛みが広がります。
・1~2時間経過後、リンパ節が腫れます。
・噛まれた部分が紫色に変わってきます。
・血圧が降下し、視力障害や意識障害が生じます。
・噛まれてから2,3日して尿が出なくなったり、血尿が出ます。
マムシは出血毒
ヘビの毒には、マムシやハブなどの「出血毒」と、コブラなどの「神経毒」があります。出血毒は唾液と同じ消化液が進化したもので、たんぱく質を溶かし血管組織を破壊します。
噛まれると、すぐに激痛が走り、内出血が広がっていきます。内出血のため患部は腫れ上がり、ひどくなると筋肉細胞が壊死を起こします。
対応処置が遅れてしまうと、循環器や腎臓にも障害が広がり、最悪に場合、死に至る場合もあるので注意しなければなりません。
マムシに噛まれた時の応急処置は・・・・
まずは落ち着いて安静にします。噛まれた傷口の心臓側あたりを、タオルなどできつめに縛って、毒の進行を止めます。
救急車を呼べる状況の場合には、早急に呼んで、病院で治療してもらいます。病院ではマムシ抗毒素血清投与などの治療を受けます。ただし血清投与の際に致命的ショックを起こす危険がありますから専門治療を受けることが大切です。
6時間以内に血清投与することが推奨されていますが、少なくとも24時間経過後、異常がないか観察が必要です。血清投与後、1週間から10日後、遅延型アレルギーを起こした場合は、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤を投与します。
病院に行くまでに時間がかかる場合などは、テレビなどで見るように口で毒を吸い出す方法もありまが、正しい知識、方法でないとおすすめできませんが、口の中で口内炎や傷、虫歯がないことを確認し、吸い出して、唾と一緒に吐き捨てます。
吐いた後は口を水やお茶でよくすすぎます。傷口は水や消毒液でよく洗います。あくまで応急処置ですので病院へ即移動しましょう。
マムシから身を守るには・・・・
顔以外は、肌が露出しないように注意します。長袖の服、足首まであるトレッキングシューズ、長ズボンとスパッツ、帽子、軍手などの手袋で完全防備します。
ズボンの裾は靴下の中に、長袖の裾は手袋の中に入れ込みます。もしもマムシを見かけたら、その場に近づかないことです。マムシは臆病だから、足音など人の気配を感じると逃げていくと言われてます。
マムシの場合、50cm以内に近づかなければ攻撃されないそうです。
・マムシに近づかない
・マムシがいそうな水場に近いところや、ジメジメした草むらに近づかない
・夜、草むらなどを歩き回らない
これらに注意が必要です。
きのこ狩りの際に落ち葉を素手で払ったり、渓流釣りや沢登りの際によく見ずに岩場に不用意に手をついたりするとマムシなどが潜んでいる場合がありますから十分に注意が必要です。